
私
最初に声をかけたの、覚えてますか?

ジョー白井
ああ。たしか、ボクシングって勝ち負けだけじゃ測れないよね、って話をしてたときだったな。
「強いとか弱いじゃなくて、負けても主人公でいられる男って、いるのかなって。僕にとって、それが辰吉丈一郎だったんです」って、君が言ったんだ。

私
そうでしたね。あの時代、テレビの前で見ていた“本物”を、ずっと語りたかったんです。
ボクシングって、技術とか記録とかファイトマネーも大事かもしれないけれど、それ以上に“生き様”に惹かれるんですよね。

ジョー白井
はは、君もなかなか面倒な男だね。
でもな──勝ち星は記録になる。
生き様は、記憶に残るんだ。

私
記憶に残る“生き様”を書き残すために、この場を作ったのかもしれません。

ジョー白井
俺と一緒に語ろうか

私
面倒くさい男ですが──付き合ってもらえますか?
辰吉がデビューした日のように、
この対談が、僕たちの“始まりの一戦”になればと思います。

ジョー白井
いいね。じゃあ、始めようか──俺たちの“第一ラウンド”を